プログラマーに資格は必要? 就職に有利な資格や難易度を解説
2021年3月5日

 

“プログラマーは何らかの資格を所持しているべきなのだろうか?”という疑問は、プログラマーとして就職や転職、キャリアアップを目指して勉強している時によく浮かぶのではないでしょうか。

また、そのような疑問を持った時“プログラマーに関する資格はどのような種類があるのか?”、“どの資格を獲得するべきなのか?”とさらに疑問が増えてしまうことはあるのではないでしょうか。

本記事ではそのような疑問を持つ人のためにプログラマーに関する資格の一例や、おすすめの資格を紹介していきます。

 

プログラマーに資格は必要か

プログラマーとは、コンピュータのプログラムを作成する人材全般を指す単語であり、その仕事はプログラム言語を使用して、成果物としてシステムやソフトウェアを作成することです。

プログラマーという職業に必要な資格や免許は存在しないため、必要な能力さえ備えていれば誰でもプログラマーになること自体は可能です。

 

しかし、プログラマーに資格がまったく不要かというとそのようなことはありません。

例えば、企業への就職や転職の他、フリーランスでの仕事の受注においてプログラマーは自身の能力を伝える必要があります。

そのような状況においてプログラマーに関する資格は誤解なく自身のスキルを伝える材料として活躍します。

 

プログラマーが資格を取得するメリット

プログラマーが資格を取得することのもっとも大きなメリットは前述のとおり“スキルの証明”です。

資格とは専門能力を証明するために取得するものですので、所持していることで“特定の分野において高い能力を有している”ということを証明することができます。

国や自治体、民間法人などのさまざまな認定機関が存在しており、基本的には国から認定される国家資格の信頼性がもっとも高いですが、企業の認知度や試験の難易度によっては民間法人から認定されるベンダー資格(民間資格)でも十分な信頼性を発揮することがあります。

 

もう1つのメリットとして“知識の習得”という面も存在します。

プログラマーになるためには必ず資格が必要というわけではないため、独学でプログラミングの学習を進め、必要となるスキルのみを習得して仕事をしていくことも可能です。

しかし、資格を獲得する場合は、その分野について網羅的に学習を行い、広い知識を身に着けていく必要があるため、自分がかかわる分野についてより理解を深めていくことができます。

 

プログラマーに関する資格の例

 

情報処理技術者試験

情報処理技術者試験は、経済産業省が“情報処理の促進に関する法律”の規定にもとづいて実施する国家試験で、合格者には経済産業大臣による“情報処理技術者試験合格証書”が交付されます。

情報処理技術者としての“知識・技能”が一定以上の水準であることを認定する資格で、対象者、レベル、専門別に試験体系が構築されているので、自分の知識や必要な分野から試験区分を決めることができます。

技術者からエンドユーザー(利用者)まで、ITに関係する幅広い人材に活用される試験として実施されており、特定の製品やソフトウェアに対する理解ではなく、総合的な知識や技能を評価します。

 

本試験はIT業界全体での共通的な評価指標で、公平な評価に資する国家試験であることから、技術力の証明としての信頼性が高く、合格者に対する報奨金制度や採用時における試験合格の考慮を行う企業も存在するとのことです。

試験区分は“基本情報技術者試験”や“ITパスポート試験”を含む12種となっています。

 

■試験区分一覧

ITパスポート試験

情報セキュリティマネジメント試験

基本情報技術者試験

応用情報技術者試験

ITストラテジスト試験

システムアーキテクト試験

プロジェクトマネージャ試験

ネットワークスペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験

エンベデッドシステムスペシャリスト試験

ITサービスマネージャ試験

システム監査技術者試験

 

オラクルマスター(ORACLE MASTER)

オラクルマスターは、Javaの登録商標や版権を所有するオラクルの日本法人である日本オラクル社が定めるデータベース認定試験です。

ベンダー資格ではありますが比較的ポピュラーで知名度も高く、現在では日本国外で実施されているOracle Certification Program(OCP)との連携もとれるようになったため、信頼性のある資格の1つといえます。

資格の区分は“ORACLE MASTER Bronze DBA 2019”、“ORACLE MASTER Silver DBA 2019”、“ORACLE MASTER Gold DBA 2019”、“ORACLE MASTER Silver SQL 2019”の4種類で、“ORACLE MASTER Platinum DBA 資格”の提供も決定しています(詳細は未定)。

 

本試験は2020年1月より新体系に順次変更されており、Oracle Databaseのバージョンに依存しない試験となっています。

バージョン非依存の資格に再認定ポリシーは適用されず、認定資格が失効することがないので金銭的負担が小さくなったのは大きなポイントです。

また、資格の階層に変更はありませんが、Silverを受験する際の前提条件がなくなったことにより、Bronzeを取得しなくても受験可能となった点もうれしいポイントです。

 

情報システム試験

一般財団法人職業教育・キャリア教育財団が主催し、文部科学省が後援するベンダー資格“情報検定”の試験区分の1つです。

試験のコンセプトは“創る”で、試験科目は基本スキル、プログラミングスキル、システムデザインスキルの3つとなっています。

プログラミングからパソコンを支える技術までが出題される開発者向けの試験であり、出題範囲に類似性がある基本情報技術者試験へのステップアップとしても活用できます。

一部の高等学校や大学、専門学校などの教育機関では、入学試験での優遇措置や入学後の単位認定の対象としているところもありますが、

民間企業および公共機関において評価されることは少ないため、その他の資格とあわせて保有していることが望ましいといえます。

 

Oracle認定Javaプログラマ

オラクルマスターと同じく日本オラクル社が定めているベンダー資格(民間資格)制度で、Javaに深くかかわる会社による国際的な資格であるため、高い信頼性があります。

試験区分はBronze(ブロンズ)、Silver(シルバー)、Gold(ゴールド)の3つで、SilverとGoldは海外でも有効です。

Javaのバージョンアップに合わせて試験も更新されており、基本的には人気、有効性ともに最新の受験がもっとも高いです。

なお、資格に有効期限がなく、Gold以上を所持していれば出題数が本試験より若干少ない移行試験を受験できるため、Goldに限ればタイミングにかかわらず獲得する意義があります。

 

Javaプログラミング能力認定試験

ビジネス能力、技能に関する認定試験の開発、主催、実施などを手がけるサーティファイが運営する民間資格で、Javaに関する基本知識やオブジェクト指向にもとづくアプリケーションプログラムの作成能力を認定します。

3~1級の3つに区分が分かれており、“基本情報技術者試験”における午後の試験での出題形式を意識して作成されているため、同試験の対策として適しているという特徴があります。

 

Ruby技術者認定試験

Ruby技術者認定試験制度は、一般財団法人Rubyアソシエーションによるベンダー認定試験制度で、Rubyベースのシステムにかかわるエンジニア、コンサルタント、講師、学生などが対象です。

資格区分はSilverとGoldの2つで、Silverでは文法やオブジェクト指向、組み込みライブラリ、実行環境など、GoldではSilverで求められる範囲をさらに掘り下げた知識や、標準添付ライブラリ、クラス、オブジェクトの知識などが問われます。

本試験は、学生の受験者を対象とした割引制度である学割を実施していることも特徴の1つで、通常価格16,500円(税込)のところ、半額の8,250円(税込)で受験できます。

 

C言語プログラミング能力認定試験

Javaプログラミング能力認定試験と同じくサーティファイが運営する民間資格で、C言語を駆使して応用プログラムなどを作成する能力を認定します。

同じ企業が運営していることもあり、試験の体系に関してJavaプログラミング能力認定試験と共通している点が多く、3~1級の3つに区分が分かれており基本情報技術者試験における午後の試験への同試験の対策に適しているという特徴は同様です。

3級では概念の理解と簡単なプログラムの記述能力、2級では各種基本アルゴリズムの理解と小規模プログラムを適切に記述できる能力、1級では使用しているOSに対する理解と応用プログラムの作成能力が求められます。

 

プログラマーが取得したい資格

 

基本情報技術者試験

情報処理技術者試験の試験区分の1つで、日本が目指すべき高度IT人材像に即したキャリアと求められるスキルを示した“共通キャリア・スキルフレームワーク”ではレベル2(基本的知識・技能)と位置付けられています。

高度なIT人材となるために必要な基本的知識、技能、実践的な活用能力を身に付けた人を対象とした試験で、出題範囲はコンピュータの科学基礎やシステム、システムの開発と運用、ネットワーク技術、データベース技術など多岐にわたります。

また、プログラミング言語に関する問題も出題されるため、プログラマー向けの能力認定試験として重要視されています。

令和元年度秋期では受験者数66,870人に対して合格者数19,069人(合格率:28.5%)となるなど、非常に難易度の高い試験であると周知されていますが、国家資格というだけあり信頼度の高い資格です。

 

応用情報技術者試験

基本情報技術者試験と同じく情報処理技術者試験の試験区分の1つで、“共通キャリア・スキルフレームワーク”ではレベル3(応用的知識・技能)に位置付けられています。

ITエンジニアとして応用的な知識・技能を有することを証明する試験で、テクノロジー系の問題数が全体の6割と多く問題のレベルも高いため、情報技術に関する深い知識が求められます。

また、“基本情報技術者試験”との違いとして午後の試験は記述式となっており、午前の知識をどれだけ現実の場面に生かすことができるかが試されます。

令和元年度秋期の試験情報は受験者数32,845人に対して合格者数7,555人(合格率:23.0%)と、さらに難易度が高まっている印象を与えます。

 

データベーススペシャリスト試験

情報処理技術者試験の一区分で、データベースの技術的な専門性を有することを認定する国家試験です。

“共通キャリア・スキルフレームワーク”ではレベル4(高度な知識・技能)に位置付けられており、データ管理者やデータベース管理者の他、インフラエンジニアも対象となっています。

膨大なデータ群の管理とパフォーマンスの高いデータベースシステムの構築により、ビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供できる能力が求められる試験です。

システム開発の上流工程のスキルが重視されるため、どちらかといえばデータ管理者に向いた能力認定試験という傾向があります。

“共通キャリア・スキルフレームワーク”において高度な知識・技能を持つ資格とされていることから認知度や評価も高く、本資格を獲得できれば一定の水準に達したスキルを持っているといってよいでしょう。

しかし、合格率は例年10%程度と非常に低いため、しっかりと勉強したうえで臨むべき試験です。

 

ITパスポート試験

情報処理技術者試験の一区分で、対象は“職業人が共通に備えておくべき情報技術に関する基礎的な知識をもち、情報技術に携わる業務に就くか、担当業務に対して情報技術を活用していこうとする者”とされています。

“共通キャリア・スキルフレームワーク”ではレベル1(最低限求められる基礎知識)に位置付けられており、情報処理技術者試験の中ではもっとも難易度の低い試験区分といってよいでしょう。

令和元年度秋期の試験情報は受験者数14,355人に対して合格者数6,754人(合格率:47.0%)と半数近くが合格していることからも窺えます。

 

出題範囲は上位区分となる基本情報技術者試験や応用情報技術者試験と同じ範囲の内容をより基礎的にしたものが出題されます。

難易度の低さからプログラム言語やテクノロジーに対する理解度を測る判断材料としては信頼性に欠けますが、コンピュータシステムやサーバーに関する理解度を測る判断材料になるケースもあるため、自分の目指す職業や企業によっては獲得を視野に入れてもよいかもしれません。

もちろん、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験への足掛かりとして挑戦するのもよいでしょう。

 

Oracle認定Javaプログラマ、Javaプログラミング能力認定試験

Java以外の言語系にかかわる資格全般にも言えることですが、業務の中で触れる機会がある言語の資格はぜひ獲得しておきたいところです。

特に、Oracle認定Javaプログラマは企業の知名度や国際的に通じる信頼性という点から特に獲得しておきたい資格です。

Javaプログラミング能力認定試験は、Oracle認定Javaプログラマに対して信頼性こそ落ちますが、受験料が安く基本情報技術者試験への対策にもなるという点から、学習の初期段階に獲得を目指し、Oracle認定Javaプログラマや基本情報技術者試験への足掛かりとして獲得するという流れを意識するのがよいでしょう。

 

まとめ

情報に関する技術は膨大で、それと同じくプログラマーに関する資格もさまざまなものが存在しており、本記事で紹介したものもその一例です。

基本的には自身が一番よく触れる分野やプログラミング言語に関する資格を獲得していくのがベターといえるでしょう。

“自分がもっとも触れる分野がいまいちわからない”、“触れる分野が広く1つに絞れない”ということであれば、国家資格であり信頼性の高い情報処理技術者試験から、自分のスキルレベルにあわせた区分のものを受験していくのがよいでしょう。

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