Linuxの資格は“LPIC”と“LinuC”の2種類! 難易度や勉強法を解説
2021年2月19日

 

Linuxがさまざまな場所で活躍するOSということは、以前“Linuxとは?初心者でもわかる概要や基礎を解説!”の記事でも説明しましたが、Linuxに関する資格があるということはご存じでしょうか?

本記事ではLinuxの資格である“LPIC”と“LinuC”について試験の内容やメリット、注意点などを紹介していきます。

 

復習:Linuxとは

Linuxは、Unix(ユニックス)系オペレーティングシステムカーネルであるLinuxカーネル(階層型に設計されたOSの中核となる部分)のことです。

Unixは、コンピューター用のマルチタスク・マルチユーザーのオペレーティングシステムの一種で、それに類似した振る舞いをするオペレーティングシステム(OS/コンピューターのオペレーション(操作・運用・運転)を司るシステムソフトウェア)をUnix系と呼びます。

なお、Linuxをカーネルとして周辺を整備したシステム全体のことをLinuxと呼ぶ場合もあります。

 

広義の部分をまとめると、Linuxは“Mac OS”や“Windows 10”のようなコンピューターのすべてのハードウェアを管理しているソフトウェア・OSの1種ということです。

パソコン用に作られたOSでしたが、現在ではスーパーコンピューター、メインフレーム、サーバー、パーソナルコンピューター、組み込みシステム(携帯電話やテレビなど)など、幅広い種類のハードウェアで使用されています。

 

Linuxの資格

 

Linux Professional Institute Certification(LPIC)

LPICは、Linux技術者を対象とした世界最大の認定資格で、LPI認定資格やLinuxプロフェッショナル認定資格とも呼ばれています。

Linuxのシステムアドミニストレータやプログラマーに関する、ベンダーと独立したプロフェッショナル認定を行う非営利団体“Linux Professional Institute(LPI)”が運営しています。

レベルは3段階に分かれている他、LPIC-3は専門分野ごとに試験が提供される形となっており、“エンタープライズ混合環境”、“エンタープライズセキュリティ”、“エンタープライズ仮想化と高可用性”が存在します。

 

LinuC

LinuCは、クラウドを含むシステム開発・運用・管理の現場においてLinux技術を中心に求められる技術力を問う認定試験です。

日本でのLinuxの技術力認定試験の普及とITプロフェッショナルの育成のため2000年7月に設立されたNPO法人“LPI-Japan”が運営しています。

 

LinuCには3つのレベルが存在しており、上位レベルの受験には下位レベルの認定が必須となります。

レベル1は“物理/仮想環境のLinuxサーバーの構築・運用”、レベル2は“仮想マシン・コンテナを含むLinuxシステム、ネットワークの設計・構築”、レベル3は“各分野の最高レベルの技術力を持つ専門家レベル”という内容となっています。

Linuxと同じくレベル3は専門分野に特化した3つの試験が存在し、それぞれ“OSの混在環境”、“セキュリティ”、“仮想化/高可用性”となっています。

 

LPICとの1番の違いは地域性の高さです。

Linuxは地域性に左右されるOSと呼ばれており、国ごとに人気のLinuxディストリビューションが異なるということもあります。

そのため、LPI-Japanはより日本市場に最適化した日本独自の認定試験を作る必要があるとして、LinuCを開発しました。

 

Linuxの資格を取得するメリット

 

資格を取得する過程で学んだ知識を活用できる

LinuxはサーバーOSやアプリケーションの動作環境などのさまざまな分野で活用されています。

資格を取得する際に学んだ知識はLinuxの運用において活用できるため、IT技術者としての仕事やキャリアアップにつながります。

 

能力の証明として転職に活用できる

こちらのメリットは特にLPICに当てはまる部分です。

LPICは世界共通の資格であるため、海外での転職活動でも活用できます。

また、LinuCは日本市場に特化した資格を目標として掲げているため、日本国内での転職においてはこちらが有利になることもあるかもしれません。

なお、どちらも民間資格であるため、実務経験をアピールしたうえでの一押しをするためのものであることは忘れないようにしておきましょう。

 

Linux資格の試験内容・難易度

 

LPIC

LPICの試験概要は下記の通りで、レベル1、2は2つの試験を受験する必要があるため、多少道のりが長く感じられるかもしれません。

レベル1はLinuxを実行するコンピューターをインストールして構成する機能や基本的なネットワークを構成できる機能をテストする内容で、Linux初心者が基礎を一通り習得するために必要な項目がそろっています。

レベル2は中小規模の混合ネットワークを管理する能力の検証で、実務経験者向けの資格となっています。

レベル3ではそれぞれの分野で最高レベルの技術力を持つ専門家であることが認定されます。

取得には十分な知識と実務経験が必要になるため、独学では難しいと感じる人も多いかもしれません。

 

■試験概要

対象試験:LPIC-1 101試験、102試験/LPIC-2 201試験、202試験/LPIC-3 300試験、303試験、304試験

前提条件:LPIC-1 特になし/LPIC-2 LPIC-1の合格/LPIC-3 LPIC-2の合格

試験時間:各90分

出題数:各60問

出題形式:多肢選択式および記述式

合格ライン:65%~75%程度

受験料:各15,000円+税

 

LinuC

LPICと基本的な構造は同じで、レベル1、2は2つの試験を受験する必要があり、レベル3はいずれかの試験を合格すればその分野でのレベル3の認定を受けることができます。

レベル1で要求される知識は、Linuxの物理および仮想サーバーに関するもので、IT業界への入口と言ってもよい内容となっています。

対して、レベル2ではLinuxのシステム管理のスキルやネットワークなどに関する知識が要求されるため、本試験を合格できるならばエンジニアとして即戦力になる人材といってよいでしょう。

レベル3では、各分野の最高レベルの技術力を証明できます。

 

なお、それぞれのレベルに初めての人を想定した勉強期間の目安が設定されており、レベル1が1~3カ月程度、レベル2が3カ月~半年程度、レベル3が半年~1年程度、となっています。

上位レベルの受験には下位レベルの認定が必須となるため、レベル3は最速で1年1カ月で取得できる計算となります。

 

■試験概要

対象試験:LinuCレベル1 101試験、102試験/LinuCレベル2 201試験、202試験/LinuCレベル3 300試験、303試験、304試験

前提条件:LinuCレベル1 特になし/LinuCレベル2 有意なLinuCレベル1/LinuCレベル3 有意なLinuCレベル2

試験時間:各90分

出題数:各60問

出題形式:多肢選択式および記述式

合格ライン:65%~75%程度

受験料:各15,000円+税

 

Linux資格の有効期限と再受験ポリシー

 

LPIC

LPICに有効期限はありませんが、有意性(現在活動中、現役)があることを示す“ACTIVE”、スキルが現役のシステム設計・開発・維持にマッチしていない“INACTIVE”という認定ステータスが存在しています。

認定ステータスの期限はいずれのレベルも5年となっており、認定者は認定日から5年以内に同一レベルの認定を再取得するか上位レベルを取得することで、認定を維持できます。

2つの試験の合格が必要なレベルの場合、有効期限は2つ目の試験の合格日(認定日)から5年となります。

有効期限が切れると認定ステータスの表示がACTIVEからINACTIVEに変更されますが、認定された事実が無効になることはありません。

 

また、レベル1およびレベル2では各試験に5年間の有効期限が存在します。

これは、認定に2つ試験の合格が必要であることから設定されており、両方の試験を5年以内に合格する必要があります。

例として、レベル1の認定を目標とする際、101試験の合格日から起算して5年以内に102試験を合格できなければ、101試験の合格は無効となってしまいます。

その場合、レベル1の認定には再度101試験を受験する必要があります。

 

再受験に関するポリシーも定められており、同一科目の再受験は2回目が受験日の翌日から起算して7日目以降(土日含む)、3回目以降が受験日の翌日から起算して30日以降より可能となります。

加えて、一度合格した科目は受験日から2年間経つまで再受験できません。

なお、再受験ポリシーは2年毎の区切りとなっており、受験後から2年を経ると一旦クリアになります。

そのため、受験から2年後は合格した試験を再受験できる他、一度目の受験としてカウントされます。

なお、本ポリシーは“不合格となった科目の再受験”にのみ適応されるもので、何らかの理由で受験できなかった場合や他科目を受験する場合などには適応されません。

なお、バージョンが異なる場合でも試験名が同じ場合は同一科目とみなされるため、別バージョンの試験は再受験ポリシーが適応されます。

 

LinuC

LPICと同じく認定に有効期限はありませんが、再認定ポリシーとして有意性の期限が存在します。

有意性の期限は、IT業界において最新の技術要素を反映した技術力を証明する認定ステータスの概念で、LinuCにおける有意性の期限は5年間となっています。

有意性を維持するには、認定日から5年以内に再認定を受けるか、保有する認定レベルより上位の認定を取得する必要があります。

また、レベル1およびレベル2では各試験に5年間の有効期限が存在するという点も同様です。

 

再受験ポリシーは“同一科目の再受験は、前回の受験日の翌日から起算して土日を含む7日目以降より可能”と設定されています。

なお、本ポリシーは“不合格となった科目の再受験”にのみ適応されるもので、合格した場合や何らかの理由で受験できなかった場合、他科目を受験する場合などには適応されません。

なお、バージョンが異なる場合でも試験名が同じ場合は同一科目とみなされるため、別バージョンの試験は再受験ポリシーが適応されます。

 

Linux資格取得のための学習方法

LPIC、LinuCいずれの資格を取得する場合でも、Linuxに関する教材を活用していくことがオススメとなります。

『Linux教科書 LPICレベル1 Version4.0対応』、『最短突破 LinuCレベル1 バージョン10.0 合格教本[101試験、102試験対応]』といった問題集も出版されているので、ある程度知識が身についてきたらこちらで試験対策を行いましょう。

なお、LinuCに関してはLPI-Japanが学習環境基準を指定したアカデミック認定校が存在する他、無料セミナーの開催や解説コラムの配信も行っているため、こちらを使用するのもよいでしょう。

 

まとめ

LPICとLinuCはそれぞれ異なる内容で運営する団体も異なりますが、Linuxを使った仕事をしていくならば非常に大きなメリットを持っています。

未経験者はもちろん経験者もLinuxの知識を証明する際に役立ちます。

また、実践的な知識が求められる試験であるため、勉強過程でLinuxに対する知識が深まり、より実務でも活躍できるようになります。

今後Linuxを勉強したり使用したりする人は、LPICやLinuCの取得を目指してみてはいかがでしょうか?

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