Pythonの資格試験とは?難易度や取得のメリットは?
2020年9月15日

 

“Python(パイソン)”は人気プログラミング言語の1つで、その特徴や使用用途は“【初心者向け】Pythonとは?特徴や活用方法を紹介!”という記事で紹介しました。

2020年度より日本の国家資格である基本情報技術者試験で出題されるプログラミング言語にも追加されており、今後より重要な言語となることが予想されます。

本記事では、そんなPythonの資格試験について、資格試験の種類や詳細、取得のメリットについて解説していきます。

 

おさらい:Pythonについて

Pythonの概要は以前の記事で紹介した通りですが、今一度簡単に説明していきます。

Pythonは、1990年代初頭ごろから公開されているプログラミング言語で、“読みやすさ・わかりやすさ”が重視されています。

シンプルな構文であることが特徴の1つで、覚えるべき構文規則が他の言語と比べて少なく入門者でもハードルが低く始めやすいです。

また、プログラミング言語の命令を1つずつ機械語に解釈しながら実行するインタープリタ型の言語となっており、プログラムの実行と同時にコードを読み込むため、あらかじめソースプログラムを機械語に翻訳しておく必要がなく、エラーの確認も容易です。

 

適応範囲はデータサイエンス、WEBプログラミング、GUIベースのアプリケーション、CAD、3Dモデリング、数式処理などと幅広い分野におよんでいます。

マイクロソフト、アップル、Google、NASAなどさまざまな国や地域の企業および研究機関で利用されており、ある程度の規模の企業ならば確実に利用していると考えてよいでしょう。

 

Pythonの資格試験の種類

 

Python 3 エンジニア認定基礎試験

“Python 3 エンジニア認定基礎試験”は、Pythonのコーディングフィロソフィーである“Pythonic”を学ばずに学習を進めるケースの増加を解決するために設立された、Pythonエンジニア育成推進協会が提供する試験です。

“Pythonic”は、Pythonを使う人たちの間で共有されている造語で、プログラミングフィロソフィーに関して幅広い意味を含んでおり、意訳すると“Pythonらしいシンプルで読みやすいコードの書き方”のような意味合いとなります。

 

文法基礎を問う試験で、問題数は40問(すべて選択問題)、試験時間60分、合格ラインは正答率70%(28問以上)となっています。

日本資格取得支援(JQOS)のデータによると、2017年度の受験者数は1,273人で合格者989人、合格率約77%となっており、難易度はそこまで高くありません。

 

Python 3 エンジニア認定データ分析試験

Pythonを使ったデータ分析の基礎や方法を問う試験です。

データ分析の業務に携わるエンジニアが増える中、学習者が本試験を学習過程での目標に定めることで、理解度向上の指標になることを目的として開始されました。

 

非常に新しい試験で、ベータ試験が2019年8月27日~9月30日の期間に実施され、全国で開始となったのは2020年6月8日です。

なお、試験方式は“Python 3 エンジニア認定基礎試験”と同じで、問題数は40問、試験時間は60分、合格ラインは正答率70%(28問以上)となっています。

 

補足:基本情報技術者試験

情報処理技術者試験は、“情報処理の促進に関する法律”にもとづき経済産業省が、情報処理技術者としての“知識・技能”が一定以上の水準であることを認定している国家試験です。

記事冒頭で触れたとおり、2020年度より出題されるプログラミング言語にPythonが追加されており、Pythonの基礎理論(アルゴリズムとプログラミング)などが出題範囲に含まれています。

 

本試験で求められる部分はプログラミング言語としてのPythonに関する知識で、細かい文法知識や活用方法などは求められておらず、Pythonの資格というよりはITエンジニアの基礎教養に関する資格といった趣です。

“Pythonの資格を取りたい”という目的では前述した2つよりも優先度が下がりますが、Python以外のプログラミング言語に関する知識がある人や、身に着けたいと考えている人は本資格の取得を考えてみるのもよいかもしれません。

また、こちらは国家試験という点も見逃せないポイントです。

 

Pythonの資格を取得するメリット

 

キャリア・スキルアップにつながる

現状存在するPythonの資格試験はどちらも基礎的な知識を試すもので、範囲もPythonの基礎部分となるため、初心者であればPythonスキルの向上につながります。

また、Python自体がプログラミング初心者にオススメであるため、まったく知識がない人が学習の一環として資格獲得を目指すというのもオススメです。

その他、前述した通りPythonの適応範囲は幅広くさまざまな企業や研究機関で利用されているため、エンジニアとしてのキャリアアップにも役立つでしょう。

 

スキルの証明

“Python 3 エンジニア認定基礎試験”および“Python 3 エンジニア認定データ分析試験”はどちらも民間資格なので、国家資格や公的資格に比べれば価値は下がりますが、それでも十分にスキルの証明になります。

本資格を所持していれば、Pythonの文法基礎やデータ分析の基礎を理解していることを示すことができるので、未経験者がPythonスキルを求める職業へ就職活動を行う場合に役立つでしょう。

 

また、転職活動だけでなく、自身のPythonの学習においても基礎的な部分をマスターできた指標として役立ちます。

獲得できたのであれば、初心者の段階からは卒業できたと考え、より高度な学習書や学習サービスに手を出してよいでしょう。

 

受験料について

 

Python資格試験の受験料

Python資格試験の受験料は、どちらも一般価格が11,000円(税込)、学割価格が5,500円(税込)となっています。

学割を除いて年齢や条件によって価格が変更することはないので、見方によっては受験のタイミングを選ばないというメリットと捉えられます。

なお、“Python 3 エンジニア認定データ分析試験”の受験チケットと主教材のセット商品を8%オフで販売するキャンペーンなどが過去に実施されているので、公式サイトのお知らせは逐一チェックしておきましょう。

 

お得な学割

学割対象の受験者は一般価格の半額となる5,500円(税込)で試験を受けることができます。

本サービスを利用する場合は、試験会場へ申し込む際に学割価格での申し込みの旨と所属する学校名を伝えた後、

試験当日に“学生証”もしくは“教員証”を持参して、提示する必要があります。

 

学割価格の対象は、試験当日に学生証もしくは教員証を提示した小学校、中学校、高等学校、短期大学、大学、大学院、高等専門学校、専修学校、専門学校の他、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会の認める学校に在籍する児童・生徒・学生・教員となります。

Pythonエンジニア育成推進協会の認める学校は、予備校生(本科生、学割証の発行される予備校生)や、各種学校で1年以上の連続した就学期間による授業が定められたコースに通う学生(学割証の発行される学生)、各職業能力開発大学校、産業技術系の大学校などとなります。

必ず申し込みページで事前に確認しておきましょう。

 

試験範囲

 

Python 3 エンジニア認定基礎試験

公式サイトなどでは、“Python 3 エンジニア認定基礎試験”の出題範囲が発表されています。

範囲は、主教材である『Pythonチュートリアル 第3版』の掲載内容や一般的な知識から出題されます。

割合は下記の通りで、出題数も明らかになっているのでよく確認しておきましょう。

なお、認定教材およびスクールも公開されている他、認定スクールの1つであるプライム・ストラテジーは、模擬試験をPRIME STUDYで無料公開しています。

実際に試験方式で練習したいという人は活用してみましょう。

 

出題数(出題率)

1章 食欲をそそってみようか

1(2.5%)

2章 Pythonインタープリタの使い方

1(2.5%)

3章 気楽な入門編

6(15.0%)

4章 制御構造ツール

9(22.5%)

5章 データ構造

7(17.5%)

6章 モジュール

2(5.0%)

7章 入出力

1(2.5%)

8章 エラーと例外

4(10.0%)

9章 クラス

2(5.0%)

10章 標準ライブラリめぐり

4(10.0%)

11章 標準ライブラリめぐり-PartII

1(2.5%)

12章 仮想環境とパッケージ

1(2.5%)

14章 対話環境での入力行編集とヒストリ置換

1(2.5%)

 

※“13章 次はなに?”の章からの出題数は0です。

 

Python 3 エンジニア認定データ分析試験

“Python 3 エンジニア認定基礎試験”と同じく“Python 3 エンジニア認定データ分析試験”の出題範囲も公式サイトより確認で、出題数や割合も公開されています。

範囲は主教材である翔泳社『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書』の掲載内容です。

プライム・ストラテジーが模擬試験を無料公開している点も同様なので活用しておくとよいでしょう。

 

問題数および問題割合

Chapter1 データエンジニアの役割

2(5.00%)

Chapter 2 Pythonと環境

Chapter2-1 実行環境構築:1(2.50%)

Chapter2-2 Pythonの基礎:3(7.50%)

Chapter2-3 Jupyter Notebook:1(2.50%)

Chapter 3 数学の基礎

Chapter3-1 数式を読むための基礎知識:1(2.50%)

Chapter3-2 線形代数:2(5.00%)

Chapter3-3 基礎解析:1(2.50%)

Chapter3-4 確率と統計:2(5.00%)

Chapter 4 ライブラリによる分析の実践

Chapter4-1 NumPy:6(15.00%)

Chapter4-2 pandas:7(17.50%)

Chapter4-3 Matplotlib:6(15.00%)

Chapter4-4 scikit-learn:8(20.00%)

 

※“Chapter5 応用:データ収集と加工” の章からの出題数は0です。

 

試験日程

試験は通年実施されており、申し込み受付も随時行われています。

会場は全国のオデッセイコミュニケーションズ テストセンターで、それぞれ実施日が異なるので、特設ページで確認しましょう。

なお、合格発表は即日か認定証は試験日の約4カ月後に郵送となっており、受験から発表までの流れは非常にスピーディとなっています。

 

受験の流れ

 

試験の申し込み

試験実施日や申し込み方法が試験会場によって異なるため、特設ページより試験会場を検索して、会場に直接申し込みを行います。

なお、試験実施日が表示されていない場合は、試験会場へ受験希望日を相談します。

また、未成年の場合は保護者の同意を得た上で申し込む必要があります。

 

Odyssey ID登録

受験にはOdyssey IDの登録(無料)が必要なので、事前に登録を済ませる必要があります。

なお、登録したOdyssey IDは繰り返し利用できるので、複数のIDを登録する必要はありません。

 

まずはIDの仮登録として、“Odyssey ID の登録”ページにアクセスして、メールアドレスを確認用の欄を含む2箇所にメールアドレスを入力し、“入力内容の確認”ボタンをクリックします。

入力したメールアドレスが画面に表示されたら、メールアドレスに間違いがないことを確認して送信ボタンをクリックします。

仮登録が終わると、入力したメールアドレス宛に登録用URLのメールが送信されるので、受信メールの登録用URLをクリックして本登録へ進みましょう。

なお、URLの有効期限は24時間となっているため、期限が切れてしまった場合は最初からやり直す必要があります。

 

本登録では、“個人情報の利用目的”に同意し、画像認証を行った後、受験者情報の入力を行います。

全項目を入力したら登録ボタンをクリックし、登録内容を確認して完了ボタンをクリックします。

登録後は漢字氏名を変更することができないので、間違いがないように注意しておきましょう。

また、登録住所に認定証が送付されるため、番地・建物名・部屋番号に抜けがないかもよく確認しておきましょう。

 

本登録が終了すると登録メールアドレス宛に登録完了のメールが送信されるので、ログイン画面から登録したOdyssey IDとパスワードでログインできることを確認します。

ログイン後に画面上部 オレンジ色のバーに登録した氏名が表示されれば登録は完了です。

 

URL: https://cbt.odyssey-com.co.jp/cbt/registration/index.action

 

試験当日

申込み時に指定した日時、会場で受験します。

試験当日は“Odyssey IDとパスワード”、“受験票”、“写真付きの身分証明書”の3点を必ず持参してください。

特に、身分証明書を忘れると受験できないので注意しておきましょう。

また、試験会場によっては受験票が発行されない場合があるので、あらかじめ申込んだ試験会場に問い合せておきましょう。

 

写真付きの身分証明書については、有効期限内である運転免許証、パスポート、住民基本台帳カード、個人番号カード、社員証、学生証のいずれか1点で、身分証明書はすべて原本の提示が必要です。

なお、写真付きの身分証明書を所持していない場合は、健康保険証、学生証、マイナンバー通知カードなどの書類より2点持参することで受験できます。

申込ページでは身分証に関する注意事項を確認できるので一度目を通しておくとよいでしょう。

 

試験時の持ち込み禁止物は、携帯電話やスマートフォンをはじめとした外部と通信できるもの、試験内容を複写または記録できるもの、時計・スマートウォッチ、問題集および参考書、飲食物の5点です。

会場にロッカーなどの設備がない場合は、試験官の指示に従う必要があります。

 

万一、試験実施環境(マシンやネットワーク)にトラブルが生じ、試験の実施に支障をきたした場合は、当日または後日、再試験の手配が行われます。

ただし、主催は支障に伴う試験の中止または再試験に伴う受験者の不便・費用・その他障害についての責任は負いません。

加えて、受験料の返金も一切行われないということは覚えておきましょう。

 

試験結果

試験結果(合否)は試験終了直後に判定され、試験終了後には“試験結果レポート”をもらえます。

合格した場合は、試験終了直後から自身の合格をWEBサイトで証明でき、4~6週間以内に合格証が郵送されます。

 

試験対策におすすめの学習サービス

 

PRIME STUDY

“Python 3 エンジニア認定基礎試験”および“Python 3 エンジニア認定データ分析試験”の無料模擬試験サイトで、それぞれ3つの模擬試験を受験することができます。

Pythonの基礎知識を学びたい場合は“【初心者向け】Pythonとは?特徴や活用方法を紹介!”の記事で紹介したサービスと併用していくことが望ましいですが、試験対策のみを目的とする場合は基本的にこれ1つで賄えます。

また、試験合格者による“合格までの学習法”を見ることができるという点もうれしいポイントです。

 

URL: https://study.prime-strategy.co.jp/

 

試験対策におすすめの学習本

 

『Pythonチュートリアル 第3版』

“Python 3 エンジニア認定基礎試験”の主教材です。

試験範囲はもちろんのこと、出題数および割合も発表されているので、こちらを使用するのがベストでしょう。

また、試験運営委託先であるオデッセイ コミュニケーションズのWEBサイト“アオテンストア”でも購入できるため、試験申し込みと合わせて購入できる便利さも利点です。

内容はPython入門者のための手引き書となっており、基本的な機能やコンセプトの解説や特徴的な機能の紹介などが行われています。

第3版は最新の3.5.1版ドキュメントに追随している他、追加された新しい言語機能とライブラリモジュール、仮想環境といった多くの変更に対応しています。

 

『Pythonチュートリアル 第3版』

こちらは“Python 3 エンジニア認定データ分析試験”の主教材です。

試験範囲や試験申し込みと合わせて購入できる便利さは、『Pythonチュートリアル 第3版』と同様です。

本書では、Pythonの基本的な文法に加えてデータフォーマットに関する知識やデータの前処理技術および可視化技術を学ぶことができます。

 

まとめ

現在取得できるPythonの資格はいずれも民間資格ではありますが、Pythonが今後より重要になると予想されているプログラミング言語であることから、非常に獲得する意義のある資格といえます。

また、本記事で紹介した資格試験はどちらも基礎的な知識を試すものなので、これからPythonの学習を始めようと考えている人にも1つの目標オススメできます。

通年実施で申し込み受付も随時行われており、気軽に受けることができるので、自信がある人は受験してみてはいかがでしょう?

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