WordPressやWEBアプリケーションに触れたことがある人ならば、PHPという単語にも聞き覚えがあると思います。
WEB開発に適しており、HTMLに埋め込むこともできるPHPについて、その記述ルールや基本構文を紹介していきます。
PHPとは
PHPは、“The PHP Group”というグループによってコミュニティベースで開発されているオープンソースの汎用スクリプト言語です。
名称の“PHP”は再帰的頭字語(正式で、名称の中にそれ自身が含まれている頭字語)で、正式名称は“PHP: Hypertext Preprocessor”です。
プログラミング言語としてはC言語やPerl、Javaなどに強く影響を受けており、言語構造は簡単で理解しやすくなっています。
サーバーサイドで動的なWEBページを作成するための機能を多く備えていることが特徴で、サーバーサイドで動作するWEBアプリケーションの開発にも適しています。
また、手続き型のプログラミングや完全ではありませんがオブジェクト指向のプログラミングも可能です。
その他、オープンソースなので商用・個人用途を問わず自由に使用できます。
各種ライブラリも充実しているので、さまざまなWEBサイトやWEBアプリケーションの開発に利用されています。
PHPでできること
PHPは、Apache HTTP ServerやNginxといったWEBサーバーソフトウェアから動作させるスクリプト言語として、サーバーサイドのWEBアプリケーション開発に利用されることが多いです。
具体例としてはオンラインショップ機能を実装したWEBサイトの作成や、WordPressでのテーマ、プラグインの自作、コンテンツ管理システム、広告配信システムなどの開発が挙げられます。
これは、PHPの起源が動的WEBページの生成ツールであり、公式の処理系にWEBアプリケーション開発に関する機能が豊富に組み込まれていることが理由です。
PHPは、PHPの最初のバージョンであるPHP/FIの開発者であるラスマス・ラードフさんが個人的にC言語で開発していたCGIプログラム“Personal Home Page Tools(PHP Tools)”が起源です。
当時は彼自身のWEBサイトで簡単な動的WEBページを作成するために用いられていましたが、1995年にデータベースへのアクセス機能などを追加したPHP ToolsがGPLの下で公開されました。
オープンソースでの公開を受けて利用者が増加したことや開発者たちがさまざまな機能を追加したことによりバージョンアップが行われ、現在のような形になっています。
例として、2015年12月に公開された“PHP 7.0”は機能追加やコードの書き直しにより、目的によらず使用できるスクリプト言語となっています。
PHPの習得メリットから見る初心者にオススメの理由
PHPは、C言語やPerl、Javaなどに強く影響を受けていることは前述したとおりです。
制御構文は、C言語そのままに近く、クラスやインターフェイスといったオブジェクト指向構文はJavaに近いものが採用されています。
C言語やJavaは利用者が多く、学習のための資料も豊富であるため、C言語やJavaから発展する形でPHPを学んだり、その逆の学習ルートを取ったりすることができます。
さらに、学習コストの低さや理解しやすい言語構造から多くのアプリケーションが開発されているため、習得した知識を生かしやすくなっています。
基本的なPHPの記述ルール
拡張子
PHPで作成するファイルは、“〇〇.php”のように“.php”を拡張子としてファイル名に記入します。
これにより、サーバーが対象のファイルをPHPファイルとして認識し、処理してくれます。
なお、PHPはHTMLで記述したファイルの途中に、マークアップとして記述して混在させることも可能です。
開始タグと終了タグ
PHPの処理系はPHPタグ“<?php”と“?>”の間に囲われた部分を解釈・実行し、その外側の部分はそのまま文字列として出力します。
また、単純にデータを出力する場合は“<?=”、“?>”の形に略すことも可能です。
なお、PHPタグがファイルの末尾にある場合はファイル末尾の空白や改行の影響を避けるためにPHPタグを閉じないことが推奨されるため、“?>”を省略することもあります。
セミコロン(;)
PHPスクリプトのコードにおいては、セミコロン(;)が区切り文字となります。
そのため、コードの最後には必ずセミコロンを記述する必要があり、これを忘れてしまうとプログラムが続行されていると認識されてしまいます。
PHPの基本構文
変数
プログラムのソースコードで、扱うデータを読み書きする記憶域のことで、コードを記述する時に、同じ情報を使い回すことを目的として活用します。
例として下記のようなコードを記述すると、“(変数として扱うデータ)”の部分に記入した内容は変数“$sanple”となり、ブラウザにその内容が表示されるようになります。
====================サンプル====================
<?php
$sanple="(変数として扱うデータ)";
print ($sanple);
?>
====================サンプル====================
演算子
演算子は、プログラミング言語において各種の演算を表わす記号およびシンボルのことで、演算が作用する対象は“被演算子”と呼ばれます。
演算子には、四則演算などを表す“算術演算子”、2つの被演算子の関係を示す(主に大小)“関係演算子”、被演算子の真理値(真・偽)に対する論理演算を行う“論理演算子”などがあります。
例として、記述の際に1 + 2と記述すると計算結果の“3”が、“1 + 2”と記述するとそのまま1 + 2が表示されてしまいますが、下記のように記述することで1 + 2 = 3と表示させることができます。
====================サンプル====================
<?php
<?php
$sanple = 1 + 2;
echo "1 + 2 = $sanple\n";
?>
====================サンプル====================
if
ifは条件分岐を作成するために使用する構文で、条件を満たした場合に処理を行うコードを作成できます。
下記のようにコードを入力した場合、“(任意の数値)”が20を超えた場合のみ“年齢入力を行った人は成人です”と表示されます。
====================サンプル====================
<?php
$sample = (任意の数値);
if ($sample >= 20)
print "年齢入力を行った人は成人です";
?>
====================サンプル====================
while
whileは、指定した条件を満たす限り処理を繰り返すという命令文です。
下記のようにコードを入力すると、まず変数“sample”に0が代入され、条件式の評価が行われます。
変数“sample”は10より小さいので処理が実行され、変数“sample”の値が出力されます。
最後に“$sample += 1”によって変数“sample”に代入されている値が1加算され、文の先頭へ戻ります。
この流れが、変数“sample”が10を超えるまで行われます。
なお、“$sample += 1”がないと変数が変化せず無限ループとなってしまうので注意が必要です。
====================サンプル====================
<?php
$sample = 0;
while (sample < 10){
print "sample=".$sample;
$sample += 1
}
?>
====================サンプル====================
関数
PHPでは、関数のことをいくつかの処理を集めた命令の定義として扱います。
関数を使うことで複雑な処理をスムーズに実行できます。
例として、下記のようにコードを記述するとWordPressのページで“最新の記事”を任意の件数まで表示できるようになります。
====================サンプル====================
<?php
wp_get_archives('type=postbypost&limit=(任意の数値)');
?>
====================サンプル====================
PHPを独学で学ぶ方法
前述のとおりPHPオープンソースで開発されているため各種ライブラリが充実しており、学習コストは比較的低くなっています。
PHP公式マニュアルのようなインストール方法から各バージョンの情報までそろった公式リファレンスも存在しているので、独学で学んでいく際には積極的に活用しましょう。
また、Progateやドットインストールといった学習サイトも充実しているので行き詰まりを感じた時にはこちらを利用するのもよいでしょう。
まとめ
PHPは多くのアプリケーション開発に利用されており、利用者が多いC言語やJavaから発展する形で学ぶことができるなど、初心者にオススメしやすいプログラミング言語となっています。
これからプログラミング言語を学ぼうとしている人や、C言語、Javaを勉強している人はPHPに手を伸ばしてみてはいかがでしょう?