AWSとは?主要サービスやできることを初心者にもわかりやすく解説
2020年10月26日

 

Amazon Web Services(アマゾンウェブサービス/略称:AWS)は、東芝やAdobe Systems、朝日新聞社・毎日新聞社、果てはアメリカのアリゾナ州と多種多様な企業や組織が利用する有名クラウドサービスです。

AWSは、WEBサイト運用やデータベースのバックアップなど、さまざまな用途に活用できる優れモノです。

本記事ではAWSについて、クラウドサービスとはどのようなものか、従来の運用形態(オンプレミス)との違いも含めて紹介していきます。

 

AWSとは?

AWSは、Amazon.comにより提供されているクラウドサービスです。

クラウドサービスとは、インターネットなどを経由してサーバーやストレージ、データベースといったコンピューター資源をサービスの形で提供する利用形態です。

2006年7月に公開され、他のWEBサイトやクライアントサイドアプリケーションに対してオンラインサービスを提供しています。

クラウド分野でのシェアは33%前後と世界1位の人気を誇っています。

 

使用用途は多岐にわたり、複数のサービスを組み合わせることもできるため、WEB業界だけではなく基幹系システムや業務システムなどでも利用されています。

実例としては、NTTデータが2018年5月に全社レベルでAWS活用を推進すると発表しています。

 

また、独自のパートナー制度“AWS パートナーネットワーク(APN)”が導入されていることも特徴の1つです。

本制度は、AWS導入に精通したシステム関連会社などがユーザーのAWS導入を支援するというもので、実際にNECが2018年5月に支援組織を設立しています。

 

従来の運用形態(オンプレミス)とクラウドサービスの違い

オンプレミスとは、ハードウェアの設置・導入やリソース管理を企業などの使用者が行う運用形態です。

ハードウェアは保有物件やデータセンターなどの設備内に設置・導入されます。

誕生時には情報システムの構築・運用形態がこれ以外存在しなかったため、呼称というものも存在していなかったのですが、クラウドサービスの普及により形態を区別する必要ができた2010年ごろから使用されるようになりました。

 

オンプレミスによる運用は“情報システムの投資がすでに完了している”、“非公開あるいは利用者限定のサービス”などが想定されており、自社およびグループ企業内のみ使用する業務システムやメールサーバー、WEB会議システムなどが挙げられます。

初期費用が高額で、サーバー機器、ソフトウェアライセンス、回線、設定費用などにより数百万円以上のコストがかかり、機器調達により利用開始までタイムラグも発生します。

メリットは、ハードウェアの設置・導入を自社の保有物件などで構築するため、カスタマイズや社内システムとの連携、統合といった面での自由度がクラウドサービスよりも高いという点です。

また、自社内のネットワーク環境下でシステム構築・運用できるため、強固なセキュリティ体制を構築可能です。

 

クラウドサービスは、アカウント登録が終了した時点でサーバー購入などを行わず即座に利用可能となります。

初期費用も一般的に無料なので低コストでスタートでき、必要に応じてサーバーの増減も可能です。

カスタマイズの自由度やセキュリティの強度はオンプレミスに優位性がありますが、明確に劣っているというわけではなく、カスタマイズに関しては、用意されたプラン・オプション内ですが即時に実行可能で、セキュリティ面においてもプライベートネットワークを利用できます。

 

運用コストは、ケースによってオンプレミスとクラウドサービスのどちらが最適となるかは異なってきます。

オンプレミスは保守運用コストが固定となる一方、クラウドサービスは利用するサービスによって費用が変動し、長期プロジェクトでは割高となる場合もあります。

 

パブリッククラウドとプライベートクラウドの違い

パブリッククラウドは、業界・業種を問わず企業や個人に向けてクラウドコンピューティング環境を提供する形態を指します。

サーバー、ソフトウェア、回線などのすべての環境をユーザー全体で共有して使うことが特徴で、リソースを共有して利用することから専用のハードウェアなどを所有する必要がなく、費用を抑えられる点がメリットです。

また、保守管理を自社で行う必要がないため、システム担当者の負担を減らすこともできます。

 

プライベートクラウドは、企業・組織が自社内でクラウド環境を構築し、社内の各部署やグループ会社に提供する形態で、従来の社内システムのように企業内でシステムを設計・管理します。

パブリッククラウドに比べて、設計の柔軟性やセキュリティ面において秀でています。

実際のところ、先ほど説明したオンプレミスとオンプレミス型プライベートクラウドは、実態としてはほとんど同じです。

オンプレミス型プライベートクラウドはクラウドプロバイダーなどが提供するため、独自のサービスが付与される点が異なります。

 

AWSの特徴とメリット

AWSの特徴とメリットは、クラウドサービスのものがそのまま当てはまります。

クラウドサービスであるため、低コストかつスピーディに利用可能で、必要に応じたサーバーの増減も可能です。

カスタマイズの自由度やセキュリティの強度に関しても、オンプレミスに優位性があるというだけで、十分なクオリティが保障されています。

 

AWSのデメリット

AWSのデメリットも、クラウドサービスのものとほぼ同様です。

従量課金制となっており利用するサービスによって費用が変動するため、長期プロジェクトでは割高となってしまう場合があります。

 

また、一概にデメリットとして扱えない部分ではありますが、サービス開発の目覚ましさやAWS特有の考え方により、使いこなすのが難しいという点があります。

こちらについてはAWSに関する情報を逐一確認しておけば問題ではなく、むしろ利益につながりますが、導入にあたりある程度の下調べをしておく必要があることは覚えておきましょう。

 

AWSの主要サービス

 

Amazon EC2

必要に応じてスペックを変更できる仮想サーバーを作成・利用できるサービスです。

数分でキャパシティを増減でき、サーバーの冗長化やスペックの変更も簡単な操作で実行可能です。

 

Amazon S3

インターネット用のストレージサービスで、保存できる容量やファイル数に制限がなく(1GBごとに料金加算)、99.999999999%という非常に高い耐久性を誇ります。

データである場合、動画・画像ファイル、加工前・加工後のファイルなどのほとんどのデータを預けることが可能な他、アクセス制御によりセキュリティ強度を高めることができます。

また、保存したデータはインターネット経由でアクセスできるため、静的なコンテンツの配信も可能です。

 

Amazon RDS

マネージド型リレーショナルデータベースで、インストールやバックアップなどのセットアップをしなくても利用できる環境が提供されているため、契約後すぐにAWS上でデータベースを使用することができます。

また、データベースエンジンを一般的な6種類のものから選択できるため、既存のデータベースですでに使用しているコードやアプリケーションを使用できる点も特徴です。

 

AWS Lambda

AWS Lambdaは、サーバーの運用負担なしで、任意のプログラムを実行できる環境を提供するサービスです。

プログラムを開発・実行するためには、サーバーOSやアプリケーションサーバーソフトウェアを準備し、実行するためにサーバーやインスタンスを起動し続ける必要がありますが、AWS Lambdaにはこのような環境がすべて準備されています。

セキュリティの設定やモニタリングといったサービスも含まれているため、ユーザープログラムを作成して登録するだけで問題ありません。

 

サーバーにかかわるサービスという点でAmazon EC2を思い浮かべる人もいると思われますが、両者の間には違いがあります。

Amazon EC2は仮想サーバーを提供するため、ユーザーは仮想サーバーの上で環境の準備やその後の保守運用を行う必要があります。

対して、AWS Lambdaは環境の準備や保守運用の必要がない代わりに、プログラム開発に用途が限定されています。

 

AWSの導入事例

 

WEBサイト運用:ネスレ日本

ネスレ日本は、グローバル管理のオンプレミス環境での運用を原則としてきましたが、デジタル分野のシステムを中心にクラウドの活用を進めています。

活用事例としては、一般消費者向けのECサイト“ネスレ通販”をAWS上で運用しています。

AWSの活用によりインフラの素早い柔軟な変更が可能になる他、AWS CloudFormationやAWS OpsWorksを用いたコードベースのインフラ管理により運用の効率化も実現しています。

 

データベースのバックアップ:Amazon.com

本サービスを提供するAmazon.comも、当然ながらAWSを利用しています。

Amazon.comは、2011年に同社のOracleデータベースのバックアップに関して、それまでのテープバックアップからAmazon S3を使う方式に切り替えています。

AWSの使用によりバックアップソフトウェアが不要になり、パフォーマンスは12倍に向上し、特定の条件下であるものの復元時間が約15時間から約2.5時間にまで短縮されたとのことです。

 

ビッグデータ分析:ナビタイムジャパン

ナビタイムジャパンは、位置情報、移動軌跡、経路検索情報などのログを分析する基盤にサーバーレスのクエリサービス“Amazon Athena”を採用しています。

他社クラウドのビッグデータクエリサービスから乗り換えたことで、Amazon S3に蓄積していたログを転送する必要がなくなり、インフラコストが75%削減された他、セキュリティ強化と運用負荷軽減も実現したとのことです。

 

まとめ

AWSは、用途にかかわらず大企業から中小企業まで利用するメリットがあるサービスです。

あまりの多機能さにより使い方を理解できず導入をためらうというケースもありますが、支援サービスも充実しているのでクラウドサービスを利用する際は1度検討をオススメします!

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